2013年06月14日

啐啄同時(そつたくどうじ)

啐啄同時(そつたくどうじ)と読みます。
中国の俗説からの話のようです。母鳥が卵を暖めて一定の時期がくると、卵の中では雛が育ち、やがて殻を薮って外へ出ようとします。その時、内部からコツコツと殻をつつくのを「啐」、母鳥が外からコツコツとつつくのを「啄」といいます。「啐」と「啄」が同時に行われ更に強さ、場所も呼吸もしっかりあっていないとなし得ないことのようです。
茶道の師弟関係でも同じことが言えます。師匠は、弟子の成長具合をよく見極めて、何かきっかけがあればもう一段階ステップアップできるところまで来ているのを見定めたら、すかさずそのタイミングを作ってあげないといけません。師匠がぼんやりしていてもいけないし、弟子も師匠からいつその機会を与えてもらっても良いように心を磨いてそれに備えていなければならないと思います。茶の湯の世界ではお茶事で客をもてなす亭主のまごころ、それをくみ取る客のまごころが「啐啄」を見事に表現しています。
「西部文淨著 禅語の味わい方参照」
私見ですが、稽古の時でも先生のところへ行ってお点前をして更に何かを得て帰るように心がけて稽古をするとよいと思います。先生が何気なく言った言葉や話の中から自分が「あっ!これは」と思うことを得て帰っていく。いい意味で常に「これでいいのか」「現状に満足してないだろうか」と考えながら人間として深みを増すというか成長していこうとする心構えが大切だと思います。この心構えは忙しい毎日の中で5分でもいいので自分と向き合う習慣をつけると少しずつ身についてくることです。
せっかく生きているのにじっとしているのはもったいないと思います。
posted by torianchado at 12:19| Comment(0) | 禅語
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