2014年04月24日

和漢朗詠集

日本は四季の豊かな国で春夏秋冬の四つの季節の中にも「初、中、晩」と「始まり、盛り、終焉」が豊かに表現されています。お茶の中では料理、和菓子、茶花、道具でそれを表現します。生徒さんと季節の話をしていて自分は何からこれを学んだのだろうと改めて考えてみると「和漢朗詠集」から多くを学んだと思います。平安時代の貴族藤原公任が編纂したもので本の名前の通り和歌と漢詩の有名なものを選びそれを自然の移り変わりに合わせて順番に編纂されている本です。例えば春の部ですと「立春から始まって、早春、春興、春夜、子の日、若葉、三月三日、暮春、三月尽、閏三月、鴬、霞、雨、梅、紅梅、柳、花、落花、藤、躑躅、款冬(山吹)」と分れていてそれぞれに名歌、名詩が並べられています。
専門学校時代に事務所にいた恩師の佐々木博邦先生と話をしていた時に「和漢朗詠集」を勧められました。「先生になりたいのなら和漢朗詠集は絶対に知っておかないと」といわれ次の日先生から「勉強して」といわれ講談社学術文庫からでていた本をプレゼントしていただきました。その後内容をよく知っている専門学校の先輩の勉強会に参加して、ずいぶん勉強をしました。今は表紙もカバーも破損してしまいボロボロの状態ですがそれほど夢中になって読み込んでいたのでした。懐かしいとともにこれからもお世話になる大切な一冊です。その中で季節とは別に「選別」という章があります。その中に「前途程遠し 思いを雁山の暮(ゆうべ)の雲に馳す 後会期遥かなり 纓(えい)を鴻臚の暁の涙に霑す(うるおす)」という大江朝綱の漢詩があります。話は変わりますが、おととい大学時代の親友がブラジルへ出発しました。直前に会う予定だったのですが準備が忙しく結局電話で話しただけで終わってしまいました。その時この漢詩が頭をよぎりました。そしていつかブラジルで茶道紹介ができるようにスキルアップして再会を果たしたいと思います。季節感だけでなく様々な場面で気持ちを表現するのに「和漢朗詠集」が生きています。
posted by torianchado at 19:36| Comment(0) | 日記
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