2012年01月26日

前途程遠し 思いを・・・

能楽に初めて触れたのは裏千家の学校時代、金剛流シテ方種田道一先生の授業で一度「楊貴妃」の舞台を観た。スローで途中記憶がなかったのを覚えているもうやだ〜(悲しい顔)数年後習い始めたころ「楊貴妃の舞台を観てから能が好きになりました」と告げると「よう寝たはったやないか(笑)」といわれ言葉に詰まってしまった。習う曲は毎回先生にリクエストした。珍しい生徒だと笑われたが感心もされた。 一番好きな曲は修羅物の中の名曲「忠度」
先日、送別を体験した。やはり何度経験しても別れはセンチメンタルな気持ちになる。

一人になってから心の中にいつも浮かんでくるのは「忠度」の曲の中に出てくる「前途程遠し 思いを雁山の暮(ゆうべ)の雲に馳す(はす)」の部分。

平家物語「忠度の都落ち」の中に出てくる藤原俊成卿との別れの場面で平忠度が歌の師匠である俊成卿に自作の歌集の巻物を預け、一ノ谷の合戦へ向かう時に声高らかに言うセリフ。

人との出会いは人生の醍醐味の一つ。良い出会いであればあるほどそう強く思う。「忠度」みたいに大げさなものではないがどんな人との出会いも偶然ではなく、縁があってのこと。
これからも大切にしていきたいと強く思う。
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金剛流謡本「忠度」
posted by torianchado at 22:45| Comment(0) | 文学雑事